すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している
ジョルジュ・バタイユが「宗教の理論」に記した一節を、内藤礼さんが神奈川県立近代美術館 鎌倉での個展タイトルにしている。
この展示を観てからしばらくの間、この言葉をよく口に出していたから友人たちは笑っていたけど、内心気が狂ってると思っていたんじゃないかな。ずいぶん前の話だけど。
最近、大好きな先輩と内藤礼さんの話になり、この言葉がまた頭から離れなくてひとり呟いたりしている。
改めてこの言葉が響いてくる。
ほとんど家にいることになり、いろんなことを考えて、じっくり自分と向き合う時間を過ごしている。
こういう状況になったいま、これから先のことをどう捉えているのか、様々な立ち場の人の考えがよくわかる。
想像力あるいは創造力はとても大切なんだと思う。
新しい世界があるならば、こういう危機がきっかけになるんだろう。そうなってほしいと願って自分にできることをやっていくしかない。
昨日は天気が良く、たまたま通りかかった不忍池がきらきら眩しくておもわず立ち止まり、鳥たちの鳴き声や上野公園の樹木の先に広がる青空をみていると、いま求めていたのはこれだとわかった。
いつもと変わらずにある平穏な風景がこんなにも美しい、ありきたりだけどもすぐに忘れてしまう。9年前にも感じたことなのに。
とっても長くなってしまいましたが、
タナカホンヤはしばらく休業中です。
4月8日の時点でTwitterではお知らせしていたのですが、ブログは書いては消してを繰り返しながら放置してしまいました。ただ、Twitterでお知らせしてからは気持ちが楽になりました。こんなぼくでも精神的に疲れていたようです。毎日お店を開けるか休むかで悩んでいたし、どちらにしても生活が厳しくなる状況。
多くの店主さんが同じように悩みながら苦渋の決断をしていると思います。
タナカホンヤはいつ再開できるのか、このままやめることになるのかわかりません。
また何か決まりましたらお知らせします。
たまにお店にいる植物たちにお水をあげに来ています。オリーブの木からは若葉がでてきました。こういう生き物が身近にあると心強いです。
自然は逞しく尊いです。
virusともうまく共存して生きていけるといいのですが。
日々情報が変化していて疲弊することもありますが、本を読んでいると落ち着きます。
いま読むと面白いと思うのは、ミシェル・ウェルベック「ある島の可能性」、ジョージ・オーウェル「1984」、宮崎駿「風の谷のナウシカ」、大友克洋「AKIRA」など、ベタですけど。
最近読んだのは、リチャード・パワーズ「オーバーストーリー」、アンナ・カヴァン「氷」、それと庄野潤三の文庫本「プールサイド小景・静物」、絲山秋子「小松とうさちゃん」とか大好きです。
とにかく感染しない、させないように皆さんもご自愛ください。
うがい手洗い忘れずに。