緊急避難させた本や文書のカビの発生と拡大はどのように防いだら良いのか

以下は、Hilary Kaplan による ”Mold: A Follow-up” の抄訳である。被災現場から緊急避難はさせたが、すぐには真空凍結乾燥等の処置を適用できずにいた本や文書は膨大な量になる。自然乾燥(風乾)させるしかない紙媒体資料のカビの発生と拡大をどのように抑え、クリーニングなどに従事する作業者へのカビの悪影響をどう防ぐか。著者は米国立公文書館のコンサーバター。


避難場所の大気環境条件

空気を循環する。温度は20~22度C に安定させる。相対湿度は可能な限り低くするのが望ましい。少なくとも60%以下に、理想的には35~40%を維持する。これを守ればカビの大規模な繁殖を劇的に抑えられる。



作業者のカビ耐性の確認

カビが大量に発生している被災現場や、避難場所でのクリーニング等に従事する作業者は、自らのカビ耐性を確認しておく。アレルギー症の人、妊娠中の人は作業を控える。自分のカビ耐性が分からない人は事前に医師に相談する。



マスクを選ぶ

顔に隙間なくフィットし、フィルター機能が NIOSH N95 基準に適合した、レスピレータ型のマスクを着用する。着用後は隙間がないかを十分に確認する。わずかな隙間からでもカビは侵入し、口から体内に入る。マスクは使い捨てにし、ポリ袋に入れて廃棄する。



真空掃除機を選ぶ

屋内でのドライ・クリーニング作業時の真空掃除機によるカビの吸引・除去は特に有効である。だが、掃除機のフィルターがHEPA基準を満たすことが絶対の条件である。これ以外の掃除機は吸引しても、排気時に作業場全体にカビを撒き散らし、作業者にも資料にも被害をもたらす。



隔離の方法

カビの被害を受けていない資料から隔離し、次の処置まで保管しておくために紙製の箱に入れておくのは、被害の拡大に有効である。この時に、可能ならば、シリカゲルのような除湿剤を入れて、資料の水分をできるだけ除くことも勧めたい。プラスチック製の袋は、搬送する場合などのカビの飛散は防止には有効である。しかし、密閉性が高いためにカビを繁殖をさせてしまう危険があるので入れたままにせずに、紙製の箱等に移し替える。



屋外でのドライ・クリーニング

空気が乾いた気候のおだやかな日を選んで、保管した箱ごと屋外に持ち出す。風下にカビが飛ぶ位置で、柔らかい刷毛で払い落とす。資料がまだ湿っていて、カビがまだ活性状態にある場合には、太陽光(紫外線)に当てるのは有効である。ただし、太陽光の紫外線はカビを死滅させるわけではないし、不活性になったにしても、カビを除去するのでもない。また、紫外線は紙を傷めることも知っておいて良い。




※ 訳者補注

空気循環は扇風機やサーキュレーターで。部屋全体に風が回り、湿気の溜まり(pocket) が出来ないのが望ましい。湿った資料には直接、風を当てないように。乾きムラが生じて乾燥時に歪んでしまうから。


保管場所全体の湿度を下げるための除湿機の導入は極めて効果が高い。


NIOSH(米国国立労働安全衛生研究所) N 95 準拠のマスクについては以下を参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/N95マスク

例:3M 防護マスク 8200 N95 


HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)については以下を参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/HEPA

HEPAフイルター搭載の家庭用真空掃除機につては新製品が各社から次々に商品化されている。検索エンジンで調べていただきたい。


なお、著者は言及していないが、上記の基準をみたすレスピレータ・マスク、掃除機は、浮遊アスベストにも有効である。



以下は、東文救処置システムのドライ・クリーニング・ボックスとHEPA掃除機。ボックスの奥に掃除機のヘッド部が組み込まれている。




参考文献:カビ被害への緊急対応について、更に詳しい実践法が述べられているのが カナダ文化財研究所(CCI)の Mould Outbreak - An Immediate Response である。

守本 善徳 より 原発・放射能汚染に関する勉強会のお知らせ へのコメント

本日はみなさんありがとうございました♪

100部刷ったでじめも残り14部となっていました
予想をはるかに越える方々に来て頂いた事に興奮しておまります

日々 周辺環境の情報が変わり
どれを信じていいのか?
どう ことばにしていけばいいのか?
迷うことがたびたびあります
その中で今日のひらかれた会は必要だなぁと実感
母親を中心に父 地域のおとなたちが来ていただけた事に感謝です!

答えを出すのではなく
ことばにしていける場
想いを表現できる場
をこれからも欲張らずに続けていきたいと思っています

☆福島のこども…福島を知り,東京を知る
☆初音の森の放射線量を地域のみんなと減らそう作戦!!
☆権上さんの話しをまた聞きたい
(このようなことをやりたいな)

次回は9月予定…
心豊かにまたよろしくお願いします

今井瑞希

※ 守本が代理で投稿

7月3日 おそれて、こわがらず / 権上かおる

みなさま 権上です。 7月に入ってしましました。暑いですがばてていませんか、ご自愛ください。 *先週は、すみだの環境フェアでした。 東電も通年の1/3くらいのブースをお通夜のように出していましたが近寄る人も少なかったと思 … Continue reading 関連投稿:
  1. 5月29日 おそれて、こわがらず / 権上かおる
  2. 6月4日 おそれて、こわがらず / 権上かおる
  3. 4月17日 おそれて、こわがらず / 権上かおる

音楽、”奉納パフォーマンス”のご紹介

『ほおずき千成り市』は、観音さまの縁日です。


浅草の縁日と同じ日に開催するのも、浅草のほおずき市も浅草寺の観音さまにちなんだ縁日だからです。


観音さまは般若の知恵(さとりのこころ)の化身であり、その優しい姿から民間信仰も厚く、人々の心に寄り添ってきて下さった仏さまです。


そんな仏さまの縁の日である7/9・10日に参拝をすると、4万6千日分のご利益がある、というのが「四万六千日(しまんろくせんにち)という縁日の由来です。


人生飛ばず落ちず、楽しくもあり。-H23ポスター


その場での音楽演奏は、単にライブではなく仏さまに音楽をお供えするという意味合いで、奉納パフォーマンスという表現をしています。



今年のラインナップです!


7/9(土)


14:00~ 消火器を使ってみよう! 災害に強くなる防災訓練


15:00~ 魅惑のジャワ舞踊 <川島未来&デワンダルキッズダンス>

(川島未来さん主宰のジャワ舞踊教室の子どもたち出演です!)


16:00~ ピアノで奏でる、ポップス 日本唱歌 <夢織工房>

(地域の障がい者支援施設『夢織工房』さんの心柔らかな演奏♪)


17:30~ 本郷壱岐坂太鼓 <太鼓の大好きな仲間たち>

(壱岐坂下の魚屋さんをはじめ、パワフルなメンバーの和太鼓演奏♪)


18:00~ 四万六千日法要 於:観音堂

(観音経をよみ、観音さまのありがたさを感じお力をいただく法要です。)


19:00~ 「東日本大震災」応援歌・ふるさとの民謡と津軽三味線

<成田武士師匠一門>

(ふるさと東北に思いを寄せて力強く弾かれる三味線!)




7/10(日)


14:00~ 四万六千日 日中法要 於:観音堂


15:00~ 若さみなぎる学園太鼓 <駒込学園和太鼓部 疾風(はやて)>

(光源寺のお隣の駒込学園の生徒さんの、勢いある演奏!

 太鼓という楽器は水に対し繊細なため、昨年は雨天で中止となりました。今年こそ!)


16:00~ バルーンコミックショー <ハッピーゴリラのかなめちゃん>

(子どもも大人も目が離せない、驚きの風船芸!!)


17:00~ 真夏のアコーディオンと旅人たちの祝日 <momo椿×表現(hyogen)>

(アコーディオン、ギターとさまざまな楽器が集まった、夕方にぴったりな不思議なバンド♪)


18:00~ 四万六千日法要 於:観音堂

(観音経をよみ、観音さまのありがたさを感じお力をいただく法要です。)


19:00~ 被災地に祈りをこめて <YASKIバンド>

(副。とともに被災地支援に行ったYASKIさんを中心としたメンバーの、いのちの演奏。)



このような進行で二日間、じわじわと進みます。


素晴らしい音響スタッフにも支えられ万華鏡のようにくるくると変わる舞台、どうぞお楽しみに。




副。


『食堂』のご紹介。

今回は、(といっても前の更新から全然あいてないですが!)『食堂』のご紹介をします。


前にも書いた通り、『食堂』はお寺が直接経営している部門です。


縁日の雰囲気やニーズによりオリジナルメニューを開発しながら毎年進化しています。



その中のオリジナルメニューをいくつかご紹介します。



○おこわ


山菜おこわとお赤飯の二種類を用意しています。


その場でせいろで蒸していて、最近なかなか見られないつくりたてです。


蒸したてだからこそ、その場で食べても持ち帰って食べてもおいしいです。


お持ち帰り用は、昔ながらの竹の皮に包んでお渡ししています。


お米は栃木のもち米を使用。




○ラッキー焼きそば


子どもにも大人気、お手頃価格の焼きそばです。


おいしさの秘密は、干しエビと切りイカを使っていること。


豚肉に火が通らず危ないことに……という可能性を排除するため考えられた、究極のレシピです。


どうぞご堪能下さい。




○名物、チキンライス


チキンライスといっても、ケチャップご飯ではありません。


蒸し暑い季節においしい、ナンプラーをベースにしたタイのご飯です。


普段はこだわりの古本屋である動坂下の『古書ほうろう』さん 店主とその奥さまが何年もかけて研究してきたこだわりの味です。


まず、ビールにあいます。


辛すぎないのでお子さまにも食べられます。



○やきとり


根津の鶏肉専門店『鳥勝』さん の新鮮な鶏肉を使った焼き鳥です。


ぷりぷりの鶏肉を食べながら、音楽ステージをお楽しみください。



その他、時間ごとにさまざまな食べ物が並ぶ食堂、どうぞお楽しみに。


明日は、音楽ステージについてのご紹介をします。




副。


H23の概要、ちらし。


人生飛ばず落ちず、楽しくもあり。-H23ポスター

遅ればせながら、今年のちらしです。


7/9・10ともに午後2時からの開店。


9日は消火器の実演、10日は法要からスタートします。




これから当日にかけ、出店者や縁日の裏側を紹介をしてゆきたいと思います。


今日は、ほおずき屋の紹介をします!!


この縁日は、浅草のほおずき市と同じ日程で行っていますが、浅草の縁日でほおずきを売っているのはてきやさん、この縁日でほおずきを売るのは地域有志です。


ほおずきは夏のお盆時期の季節商品で、水をたくさんあげなければならず、寺に届いてから縁日当日までとても気を使いながら管理をします。



少しだけ縁日の裏をお話しすると……


毎年ほおずき屋、食堂などは「本部経営」の屋台、その他は個人の出店となっており、ほおずき屋と食堂の利益が次年度以降の立ち上げの基金となっています。


明日は食堂の紹介をします。




副。

テント建てをしました!

人生飛ばず落ちず、楽しくもあり。-テントが建ちました。

今日は約30名の方の力を集めて、テント建ての作業をしました。


一般の縁日だとてきやさんが一日でつくりだす縁日の空間も、素人がやろうとすると大変です。


でも、こうして準備を重ねて縁日の当日を迎えるのは、何にも代えがたい喜びです。


参加者の方も、その喜びを味わいたくて準備に出て来て下さっているはず。




ほおずき千成り市、いよいよ来週の土日です。




副。



駒込大観音ほおずき千成り市、もうすぐ。

土曜の午後遅く、光源寺を訊ねると、地元のお手伝いや出店者、東洋大学と高崎経済大学の学生が「ほおずき千成り市」の準備をされていました。千駄木のG.ルーカスが主導する巨大タープの下、テントも張られて、着々と準備が進みます。来週のいまごろは「駒込大観音 ほおずき千成り市」の開催です。
光源寺,駒込大観音
  ■ 駒込大観音[こまごめおおがんのん] 四万六千日[しまんろくせんにち] ほおずき千成り市[せんなりいち] <http://www.yanesen.net/topics/detail.php?id=359> 開催: 7/9(水)、10(木) 時間: 14:00 - 20:00(雨天決行) 住所: 文京区向丘 2-38-22 交通: ・東京メトロ南北線本駒込」駅 徒歩 5分 (改札から右側に出てエレベータで地上へ >> 白山上交差点で三井住友銀行の角を左折 >> 千駄木方面へ約300m) ・都営地下鉄三田線白山」駅 徒歩 7分 (白山上方面出口から本郷通りを横切り >> 千駄木方面へ約300m) ・東京メトロ千代田線千駄木」駅 徒歩 7分 (団子坂方面出口から左へ >> 団子坂を上り直進 約500m>> 駒込学園となり)   □ 昨年の様子  

安西水丸さん個展

表参道の山陽堂書店に併設されているギャラリー山陽堂。

7月1日(金)から14日(金)までは

安西水丸さんの「幻のシルク」展が開催されています。

詳細はこちらをご覧ください ⇒ http://sanyodo-shoten.co.jp/gallery/schedule.html

書店のスペースでは安西さん選書の「おすすめの本」コーナーもあります。


同じく表参道にあるHBギャラリーでは、

安西さんとの共著もある和田誠個展「オスカー」が7月1日(金)~6日(水)で開催されています。

詳細はこちらをご覧ください ⇒ http://www.hbc.ne.jp/hbg/index.html


青豆とうふ (新潮文庫)

青豆とうふ (新潮文庫)

  • 作者: 安西 水丸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/06/26
  • メディア: 文庫


文京区内に避難されている皆さまと、文京区に避難されている方をご存知の方々へ “おちゃっぺ会”に来ませんか?

双葉町から避難されている方が声かけ人になって“おちゃっぺ会”が開かれます(主催:文京区社会福祉協議会)。文京区へ、福島はじめ、あちこちから避難している方々の交流と、地域とつながるきっかけ作りに、存分に“おちゃっぺ(浜通り … Continue reading 関連投稿:
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やねせんおしょくじ 創刊号

谷根千おしょくじ
 谷中・根津・千駄木(通称、谷根千)界隈の飲食店を「おみくじ」形式で紹介する「谷根千おしょくじ」が冊子「やねせんおしょくじ」を創刊しました。(2011.7.1) これまで「谷根千おしょくじ」は、「おしょくじ」による飲食店紹介の他にも、"食"に関わる専門家を招いてワークショップ(おしえて会)やトークライブ(きかせて会)などのイベントを開催されてきました。 今までの活動報告はもちろん、カラー写真ときめ細かく取材された楽しい記事満載の小冊子を刊行しました。一冊に一枚「おしょくじ」が付いています。巻末ページには谷根千界隈の飲食店マップも掲載されています。お勧めの冊子です(定価 500円)。
■ 小冊子やねせんおしょくじ(谷根千おしょくじ) <http://yanesenoshokuji.com/book/> 谷根千界隈の取扱店:(2011.7.1現在) 古書ほうろう(千駄木)/古書信天翁(西日暮里)/不思議 はてな(千駄木)/カフェさんさき坂(谷中) やねせんおしょくじ  

震災日録 6月27日 日出生台演習場

由布院は憧れの温泉地と皆は思っていて、由布院に行くというと「いいわねえ」とため息をつく人が多いが、実は近くに自衛隊の駐屯地があり、その奥に日出生台という自衛隊の4900ヘクタールの広大な演習場がある。すごくきれいな里山だ。ワラビやタケノコの宝庫でもある。話はよく聞くが現地をみたのは初めて、しかもよく理解していなかった。演習場ができたのは戦後ではなく、日清戦争後からある。100戸の農家と田畑を立ちのきさせて作り、小倉の師団などが演習した。

戦後は400戸の開拓農民が入ったが、まもなくGHQが占領、農民はまた追い出され、米軍が駐屯して16000人の米兵、4000人の韓国兵、700人の売春婦が常駐、由布院でも米兵による暴力事件が相次いだ。占領解除となってからは自衛隊の演習場に。そして1996年、米軍はキャンプハンセンで行っていた実弾演習をここの他本土5カ所で行うことに決めた。私はこのとき、由布院のみなさんに呼ばれてなぜか樋口一葉の話をしている。演習場の中には県道104号が通っており、周辺には農家もあり、事故が起こらないのが不思議。自衛隊は1年に300日以上演習をしており、米軍も使っている。演習による山火事もふえているという。

そこから、杵築の女性たちに脱原発の活動についてお話を聞きにいった。「できた原発については運動は盛り上がらない」ということで、主に祝島の上関原発の反対運動に参加している。このことについてはそのうち映像で。

震災日録 6月26日 スミコさんに乾杯!

朝一番の「死んどる暇はない」の増永スミコさんさん、大正12年生まれにぶっ飛ぶ。

高等小学校を出て看護婦の資格を取り、助産婦として働き、職場に労働組合を作り、退職後はずっと1人で憲法9条を守る闘いを続けている。三菱重工爆破事件の死刑囚と養子縁組する。駅頭での署名が2人しかなくても「バス停で背中で聞いている人がいればいい」という。娘さんは医者となって未婚で二人の子供を生み、母を支えている。母のために就職口がなくなっても。母と娘は同志。

ツカレタのでこれで紹介終わり。あとの4本もよかったですよう。今晩はわらび野にお世話になる。部屋に露天風呂つきという贅沢。ぬるめの湯に1時間つかりいろいろ考える。

震災日録 6月25日 松川賞

あさから土本典昭「原発切り抜き帖」。切り抜いた記事だけでこれだけの映画ができてしまう。小沢昭一のナレーションもすごい。それに先駆的、今もちっとも変わらない。松川賞受賞作は4本のうち、3本がテレビ番組、一本も文化映画はなかった。

「ばっちゃん引退」は広島の基町で活動する保護司のおばちゃんの話。導入はNHKらしからぬ斬新さ。でもモザイクや音声変換は説得によって避けられなかったのか。不良とか更生といった言葉への違和感。いかにも人がよさそうなディレクターの存在、やっぱりNHK的だという感じ。

「原爆投下を阻止せよ」は終戦の3ヶ月前に戦後の日米貿易などを見越してビジネスと天皇制を温存しようとしたグルーら東部出身のエリートたちと、あくまで原爆投下にこだわった南部出身のバーンズらの対立を分析。力作だし、いいもん悪いもんに分けないのはいいが、挿入される学者やジャーナリストのコメントがいかにも具合よくちりばめられている上に、その内容にも疑問が多く残った。全体にエヌスペの定型を出ていない。あとできいたら広島局の独自番組で予算もそうなかったとのこと。でもこういう番組は放送文化基金賞に応募すればいいのではないか?

「キューバ・センチメンタル」は人類学者が留学先の国で出会った友人たちの鬱屈を撮る。マイケル・ムーア「シッコ」などではアメリカと違って教育も医療もタダの夢のような国として描かれていた。ここで描かれているのはみんなで貧乏なら恐くない、とでもいうべき国。世界遺産の文化財担当者や医師といった専門職でも1ヶ月15ドル、20ドルといったものすごい低い給料で政治的自由もない。それでつぎつぎ友人たちは国を出てアメリカ、オーストラリア、チリ、バルセロナへ。残された若者の淋しさ、出て行った若者の寄る辺なさ。「やっと夢の部隊がアリゾナになったわ」「稼がなくても、納得のいくしごとをして、たたかうべき時にはたたかう」「僕らの乗ってきた船は焼けてしまった」と印象的な言葉がたくさんあって胸が焼けるような思い。それでも資本主義社会や浅い付き合いに違和感を感じ、かつての本質的な会話ができた仲間たちがなつかしいという。

「むかしむかしこの島で」米軍撮影の沖縄戦の古いフィルム、それに写っていた人々の表情。初めて捕虜になった老夫婦は敵に情報を教えたかどで日本軍に「適当に始末」される。地域の肖像権をとらえたいい番組だが、すでにあちこちの賞に応募しており、5年前の番組というのもちょっと困った。アナウンサー、平良とみ、ディレクターと三種のナレーションが入るのもやや煩わしい。

結局コメンテーターの3人が「キューバ」にいれ、一人が「むかしむかし」に、観客賞は「ばっちゃん」にと票はばらけた。まあ応募する以上、どんな感想や意見にも耐えなくてはならない。しかしそのあとに見た「カンタ・ティモール」が今年のベスト作品だ。これを見ただけできたかいがあったというような。30そこそこのたおやかな女性が撮った骨太の作品。監督のトークも素晴らしかった。チモールで起きていたことへの無知を恥じるしかない。きょうはいよとみ荘にお世話になる。