今夜は満月。『つきよの3びき』『きょうはそらにまるいつき』

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

今夜は満月。
こんな夜にぴったりの新刊絵本2点が入荷しました。

●たかどのほうこ 、岡本順『つきよの3びき』(童心社)


つきよの3びき [ たかどの ほうこ ]

くまたろうと、ぽんたと、やぎえちゃんは、夜の公園でふくれていました。お母さんにしかられて家を出てきたのです。
「おっかーなんか、しーらない! 」
3びきは夜道をいたずらしながら歩きます。
塀に手形をつけたり、貼り紙を食べちゃったり。すっかり浮かれ気分でどんどん歩いていきます。
でも一軒の家から子守歌が聞こえ、明かりがぱちんと消えると、なんだか寂しくなりました。

ふと空を見上げると、お月様がやさしく笑って言いました。
「さあ、もう、おかえんなさい」
ふくれた気持ちも、浮かれた気持ちも、しゅるしゅると消えました。
しんとした夜道を、3びきはお月様に照らされながら、一生懸命おうちへ向かいます。


●荒井良二『きょうはそらにまるいつき』(偕成社)


きょうはそらにまるいつき [ 荒井良二 ]

夕暮れの公園や、夜の街中で。遠い遠い、山や海にも。
ベビーカーのあかちゃんや、バレエの練習帰りの女の子、仕事を終えた洋服屋の親子。
たくさん遊んだクマやネコたち、大きく跳ねたクジラも。

それぞれがふと見上げた先には、まんまるの満月が。
いろいろな暮らしのなかで、楽しいことも悲しいこともあるでしょう。
でも夜空には、私たちを優しく照らしてくれる光りがあって、誰もが同じ月を見ることができます。

きょうはそらにまるいつき。1日の最後に見える、ごほうびのようなお月様です。
どうぞ夜空を見上げてみてください。

『北欧ゆるとりっぷ』

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森百合子『北欧ゆるとりっぷ』(主婦の友社)


北欧ゆるとりっぷ [ 森百合子 ]

北欧好きならどなたでもご存知、森百合子さんの最新刊です。

“北欧ブーム”と言われる昨今、北欧のおしゃれでかわいい雑貨やスポットを紹介する書籍、雑誌は数多くあります。
そんな中にあって、本書は「北欧的ゆるさを楽しむ」旅ガイド。
ほっとひと息つける居心地のいい場所、もう一度行きたい忘れられない場所などを紹介しています。

北欧の人と同じようなゆったりとした時間や場所に浸り、暮らすように旅をする様子からは、
現地の風や匂い、肌ざわりのようなものが感じられます

北欧を何度も訪れている“北欧上級者”森さんならではの楽しみ方という面もあるかもしれませんが、
観光スポットを忙しく飛び回るだけではなく、時にはゆったりとした時間こそを楽しみたいものですね。
一般的なガイドやテレビで見るのとは違う、新しい北欧に出会い、そして好きになることができそうです。

もちろん、現地ならではのお土産情報やイベントなどの情報も盛りだくさんなので、
一歩進んだ北欧ツウになれること間違いなし。
目先の旅行計画に組み込むのもよし、まずは北欧への思いを募らせるのもよし、です。

仕事や家事に追われて何かと忙しい毎日。
一旦手を止めて、コーヒーやシナモンロール片手に読んでいただきたい1冊です。
ほっとひと息、ついてみませんか?

『北欧が好き!②』

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明日発売の『北欧が好き!2 建築&デザインでめぐる フィンランド・スウェーデン・ デンマーク・ノルウェー』(ダイヤモンド社)が届きました!!
明日からの展示でいち早く販売いたします。

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北欧からの帰国後、“逆ホームシック”になってしまったというナシエさん。
「北欧の何がそんなに私をひきつけるのだろう」と考えるうち、様々な家具や内装、照明などの調和した空間、それらに包まれる安心感に答えを見出します。
そう、それこそが本書のテーマである“北欧デザイン”です!

早速、北欧デザインについて調べ始めたナシエさん。
いざ、北欧の建築・デザイン・アートの旅へ出発です!

4か国それぞれのパートに分かれ、図書館や教会、美術館やショップなど、洗練、またはかわいいデザインの建物やグッズなどが数多く紹介されています。
アアルトやヤコブセンなどのデザイナーについても詳しく記されているので知識を深めるのにもピッタリ。

もちろん美味しい食べ物や素敵な風景の描写などもあるので、前作に引き続き北欧好きにはたまらない内容ですよ!

そして他の本ではあまり紹介されることのない、ラップランドのページも充実しています。
サーミの人々の生活や文化に興味津々!トナカイとの暮らしや犬ぞりなど、いつかこの目で見てみたいものですね。

ますます北欧への思いが募ります!
ぜひぜひ、どなたさまも読んでみてください♪

いままさに、ナシエさんの設営真っ最中!
どんな展示になるのかワクワクです(^^)どうぞお楽しみに☆

☆『北欧が好き!2』 出版記念イラスト展
http://hirunekodou.seesaa.net/article/441898942.html?1476354744


北欧が好き!2 建築&デザインでめぐるフィンランド・スウェーデン・デンマーク・ノルウェー [ ナシエ ]


北欧が好き! [ ナシエ ]

『小さな出版社のつくり方』

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先日発売された『小さな出版社のつくり方』(猿江商會)


小さな出版社のつくり方 [ 永江 朗 ]

『菊地君の本屋』『「本が売れない」というけれど 』など、出版業界に関する多数の著作をもつ永江朗氏の、「小さな」出版社、11社12人へのロングインタビューをまとめたものが本書です。

本書に登場するのは、2000年以降に創業した「小さな」出版社。
■アルテスパブリッシング
■鉄筆
■羽鳥書店
■悟空出版
■ブックエンド
■小さい書房
■コルク
■SPBS
■トランスビュー
■ころから
■共和国

ちなみにこの本の版元である猿江商會も「小さな」出版社です。
多くの方にとっては馴染みの薄い社名かもしれません。
かたちは様々でありながら、編集から営業、経理や発送まで一人でこなす「ひとり出版社」も増えています。

しかしながら出版において、社名は必ずしも重要ではありません。
もちろん有名な出版社であることのメリットは多々ありますが、どんなに小さな会社であってもヒットを出すこと、
社会に影響を与えることができるのが、出版業界の特性でもあり、面白いところでもあります。

実際にこれらの出版社から刊行されている本で話題になるものも多く、出版の幅の広さ、深さを感じさせてくれます。
そしてそれを担保する流通の話や、取次との交渉、企画の進め方など具体的な話にも触れられていて、
本づくりに関わる方、そして新しいことを始めたい方にはぜひ読んでいただきたい内容です。

出版不況、右肩下がりと言われるこの時代に、あえて「出版社をつくる」ことを選んだ彼らの姿。
そのキッカケや理由はひとによって異なりますが、飾ることのないまっすぐな言葉と思いがしっかりと届いてきます。
本の未来へ向けた、明るく、そして強烈なメッセージを受け取りました。

『フィンダスのたんじょうび』が入荷しました!

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『フィンダスのたんじょうび』が入荷しました!

猫のフィンダスぺテルソンおじさんの掛け合いがなんともユーモラスな、スウェーデンの人気シリーズです。
場面の隅々まで描かれた細かなイラストも、読者を夢中にさせてくれます。
個人的にも大好きなのですが、日本語版はなかなか入手困難なだけに嬉しいです!

当店には「きつねがり」「さかなつり」とあわせて3冊ございます(ちなみに原書は4冊)。
これまでにお越しくださった方は、店主の頭の上に『フィンダスのさかなつり』が飾ってあるのをご覧になったことがあるかもしれませんね。コレクションしている面もあるのですが(笑)、もちろんご希望の方にはお譲りしますのでお気軽にお声掛けくださいませ(^^)

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新刊絵本が入荷!

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新刊絵本が入荷しました。

『くいしんぼうのクジラ』(あかね書房)
ごちそうさまが大嫌いで、とにかく美味しいものを食べて食べて食べまくるクジラ。そのあまりの勢いに思わずふき出してしまいました。何もかも食べ続けたクジラは……。谷口さんの描く絵本は本当に魅力的です。


『ひまなこなべ』(あすなろ書房)
アイヌの昔話が絵本に。ここに描かれているのは、生き物や道具への愛と感謝。判型が似ているせいか、童心社時代に『ナナカラやまものがたり』を手にしたときのことを思い出しました。どいかやさんの、物語に寄せる深い思いが伝わります。


『すきになったら』(ブロンズ新社)
誰かを好きになったら、自分自身も世界の全ても、昨日までとは変わって見えてきます。言葉も絵も装丁も全てが素敵。なんと色香を漂わせる絵本なのでしょう。大切な人へ手渡したくなります。
説明不要、大人気ヒグチユウコさんの最新作です。

片手袋写真展~『キュッパのはくぶつかん』

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いよいよ本日から店内では「片手袋写真展」がスタート。
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これにあわせて『てぶくろ』や『手ぶくろを買いに』などの“手袋絵本フェア”をしているのですが、
定番の絵本以外に、ちょっと変わったこちらも置いてあります。

『キュッパのはくぶつかん 』(福音館書店)

キュッパのはくぶつかん [ オーシル・カンスタ・ヨンセン ]

丸太の男の子キュッパは、森の小さな木の家で暮らしています。
キュッパはいろいろなものを集めるのが大好きで、森へ行っては落ちているものを次々にひろいます。
家に帰ってひろげてみると大変な数。一つ一つの名前を調べて、分類して、ラベルをつけて……。
でもタンスの引きだしはどこもいっぱい。
困ったキュッパがおばあちゃんに相談すると「おまえもはくぶつかんをつくってみたらどうだい?」
キュッパは早速、博物館づくりを始めます。

ノルウェーからやってきた不思議なキャラクター、キュッパ。
昨年、東京美術館で“キュッパのびじゅつかん”が開催され話題を集めました(個人的に、ものすごく興奮しました!)
http://kubbe.tobikan.jp/

この絵本をよくよく見てみると……やっぱりありました、片手袋。
やっぱり手袋が片方だけ落ちているという現象は、世界共通なんですね!
そんな片手袋探しも楽しめる(強引?)キュッパの絵本、ぜひお近くでご覧くださいね!
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『キュッパのおんがくかい』もございますよ。

キュッパのおんがくかい [ オーシル・カンスタ・ヨンセン ]

ちなみに町歩きの新たな視点という意味で、先日のイベントからの流れでこの2点も並べています。



9/6は「黒の日」

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9/6は「黒の日」
黒い表紙には、人をひきつける力強さがありますね。
ちなみに絵本『おしいれのぼうけん』が刊行された当時、「黒い表紙の本は売れない」というジンクスがあったそうです。

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『まっくろけ』(小峰書店)は黒い表紙ではありませんが、
黒の楽しさと、少しの怖さを教えてくれる絵本。


まっくろけ [ 北村想 ]

たっくんの家の隣に住んでいるグウさんは芸術家。スミで絵を描くのが仕事です。
たっくんはよくグウさんの家に遊びに行って、一緒にお絵描きをしています。

あるとき、グウさんは2日ばかり出かけることになりました。
留守の間も自由に遊びに来ていいけど、棚の上にあるビンのスミだけは使ってはいけません、
とたっくんに言い残します。

でも、たっくんが言いつけを守らずにそのスミを使ってしまったから、さあ大変。
紙も、電柱も、ガミガミじいさんも全部まっくろけにしてしまいます。
でもビンが地面に落ちて、スミが飛び散ってしまって……。

全てを呑み込む強さがあると同時に、様々な色をいかすこともできる「黒」。
なんとも魅力的な色ですね!
ちなみに個人的には黒猫が一番好きだったりします=^_^=

『ハルとカナ』

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心を打ちぬかれてしまったので、新刊紹介します。

ひこ・田中 作 ヨシタケシンスケ 絵
『ハルとカナ』(講談社)


ハルとカナ [ ひこ・田中 ]

ハルとカナは、桜谷小学校の2年2組。
8年間も生きているので、たいていのことはもうわかっているつもりです。

ハルのお父さんとお母さんは時々仲よしじゃなくなります。でもあんまり仲よし過ぎても「ぼくがいなくても幸せなのかな」って少し悲しくなります。

カナは数を数えるのが大好き。バスに乗ってくるカエルの数を数える授業が楽しかったから。三匹乗って、次に二匹乗って、一匹が降りて……。どこに行くのかな?カエルたち、楽しそう。

ハルは教室でひとりになることが多いです。幼稚園の友だちはそれぞれに仲よしをつくりました。どうして女の子は女の子で、男の子は男の子でかたまるんだろう。不思議だな。

カナは「ほうじ茶、サイコー」と叫んでお母さんに「おやじみたい」って言われます。「おやじって?」「とうさんみたいな人よ」「そうかあ。今度とうさんをおやじって呼んでみるね」「それはやめておいたほうがいいよ」それなら、絶対に言おうとカナは誓います。

お互いのことをほとんど知らない2人は、ある時たまたま言葉を交わすことに。
なんだかおもしろい子だなって思っていたら、どんどん相手のことを知りたくなります。
ついつい様子が気になって視線を送ると、向こうもこちらを見ていたり。
この気持ち、一体なんだろう?

……書きたいことはたくさんありますが、気持ちが前のめりし過ぎてこれ以上は書けません。
もう甘酸っぱいんです。身悶えしてしまうんです。

学校のこと、友達のこと、親や兄弟のこと、勉強のこと。
考えることはたくさんあるのに、いつの間にかあの子のことばかり見てしまう。
そんな経験、誰にもありますよね?

小さな男の子と女の子の、大きな気持ち。
とにかく読んでみてください。

『きみの町で』

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重松清『きみの町で』(朝日出版社)

きみの町で [ 重松清 ]

今日から新学期というお子さんも多いですね。
たくさんの夏の思い出を胸にはりきって登校する子もいれば、宿題が終わらずどんよりした気分で学校に出かけた子、
学校に行くのがイヤで休んだ子、いろいろな子がいると思います。

学校が好きで好きで仕方がない子もいれば、考えるだけで絶望的な気持ちになる子もいるはずです。
だって楽しいだけじゃないですもんね。むしろ大変なことの方が多いかもしれません。

それぞれの心のスペースは違うのですから、内なる声に従って歩めばいいのだと思います。
大人になると会議だノルマだ締切だでがんじがらめなのですから、子どものうちくらいゆっくりしてもいいんじゃないでしょうか。ルールを守ることはもちろん大切ですが、自分の心を生かすことを学んで欲しいなと思います。

学校のこと、友達や好きな子のこと、自分や家族のこと、そして生きること。
どんな町のどんな子にも、それぞれの悩みがあって、人生があって、自由があります。
辛くなったり息苦しくなったら、この本を開いてみてほしいです。
そしてもし近くに悩んでいる子がいたら、そっと差し出してあげてください。

ほんの一行、一文が、勇気や希望につながるかもしれません。

頭の中が「なんで?」「どうして?」「もうやだ」でいっぱいになったら、近くの本屋さんに駆け込むのもいいですよ。
そこにはきっと、たくさんのがあるはずです。
あなたの心の中で芽を出す時を、言葉たちがじっと待っています。


※絵本作家・ミロコマチコさんが描いた本書の挿絵原画展を10月下旬に予定しております。
詳細は追ってお知らせします。

本屋がなくなったら、困るじゃないか

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

『本屋がなくなったら、困るじゃないか 11時間ぐびぐび会議』(西日本新聞社)


本屋がなくなったら、困るじゃないか [ ブックオカ ]

相次ぐ書店や取次の廃業、情報ソースの多様化による雑誌不況や本離れ、Amazonをはじめとするネット書店の脅威、電子書籍による“紙の本”の減少……。
今さら挙げるまでもなく、出版界を取り巻く環境は、この数年、いえ、もっと前からこのような「出版不況」を表すワードとともに語られます。

「本を売る・つくる仕事はこんなに面白いのに、なぜネガティブな話題が多いのか。」
書店・取次・出版社という業界3者の面々が、そんな素朴な疑問から出発しつつ、構造的な問題を徹底的に“明るく”“未来に向けて”話し合った、2日間・計11時間の記録が本書です。

大学卒業後に出版社の営業として業界に関わったのはもちろん、書店や取次でも働いた経験のある者として(そしていまは独立して本屋をやっています!)、本書はとても興味深く読むことができました。再認識や再確認、そして新たな気づきの機会となりました。

 機能不全に陥っている、旧態依然とした流通の仕組み。
 見計らい配本、希望数が入荷しない実情、それを見越した発注から生じる無駄、返品率。
 書店が欲している情報と、出版社から提供される情報の落差。
 増加しつつある、直取引や注文出荷制について。

 現行の仕組みにおける、新刊書店開業、新規参入の難しさ。
 取次の信認金や配送コストの問題。
 書店が扱う商材の多様化や、展示・イベントのこと。
 ひとり出版社の多様性について。

ここに挙げただけでも車座トークの話題は多岐にわたります。
業界について話し合うイベントなどは数多くありますが、ここまで広くかつ具体的に話されることは少ないのではないでしょうか。
それは時間や進行上の制約によるところもありますが、既に話し尽くされている自明のこととして扱ってしまう話題が多い、という面もあります。「そもそも論」から始まる議論は、行きつ戻りつしながらその理解を深めるのには大いに役立ちそうです。

当店と1日違いでオープンされた荻窪の「Title」さんの開業話は、個人が本屋を始める際の大きなヒントになります。具体的な数字や取次との折衝の話が入ると、個人店の開業を現実のものとして捉えることができます。
そして諸外国、特にドイツの出版をとりまく状況は、今後の業界を考え、良い方向に向かう上での大きな示唆でした。刊行のサイクルや粗利の面、書店員の教育など、日本が学ぶべき多くのことがそこには込められています。

本書の後半には、現在の業界のキーパーソンや若手書店主のインタビューや寄稿があり、硬直化している出版界の新たな可能性、胎動を感じることができます。そこには「光」を見ることができました。

しかし同時に、その元にある危機感や閉塞感などもひしひしと感じられます。

ネガティブかどうか、という見方ではなく「出版界、ひいては本を取り巻く環境を大きく変えねばならない」
という事実は確かにあるように思います。

最初に本書のタイトルを見た時に、「そうだそうだ!」と思う自分と、「果たして本当にそうだろうか?」と思う自分がいました。自分が本屋であること以前に、読者として身近に本屋がなくなってしまうなんて考えられません。ですが、大多数の人にとってもそれは同じことでしょうか?

欲しい本はAmazonに頼めば翌日、早ければ当日に自宅に届きます。
書店で本を買うのなら、広い店内を探したり、店員に尋ねたり、レジに並ばなくてはなりません。
ネットであれば、検索してクリックするだけなのでわずか数十秒から数分で済みます。
書店で本を買うのなら、雨の日や荷物の多い時にわざわざ持って帰らなくてはなりません。
ネットであれば、誰も手にしていないキレイな状態の本が玄関まで届くのです。

効率だけ考えれば誰だって書店を利用しないでしょうし、そこで情報だけ得てネットで買う人も当然いるでしょう。
そしてそもそも今の書店で売っている「本」というもの自体を買う人もますます減っていくでしょう。

そんな時代に「本屋がなくなったら、困るじゃないか」というのは大げさというか、時代錯誤と思われてしまっても仕方ありません。

本屋が無くて、一体誰が困るんですか?
それは既存の出版業界の内側にいる人だけではないんですか?
と。

何千という町の書店が潰れて、それで日本人の何かが大きく変わったかどうかなんて誰も証明できません。
閉店情報を知ってようやく押し寄せる人は、まだ本を愛している人たちです。
そして書店で本を買わなければ、その書店が死んでしまうのだということをそこで実感します。
でも多くの人にとって、そういったことは自分の関心の外にあるのではないでしょうか。
むしろ新しくコンビニやファミレスができれば便利と思う人も大勢いるかもしれません。
悲しいことですが、本に関心がない人にとって、書店は目にも入っていないのだということを認識しなければならないようです。

だからこそこの本には、業界の人が読んでなんとなく満足するような“内向き”の本になってほしくないのです。
「えっ?なんで?」と思われてもいいから、関心のない人にまずは目に留めてもらうこと。
そのためにはチラシでもポスターでも広告でも、ぜひやっていただきたい。
出版社だけでなく、本の世界に関わる人ができるだけこの本を露出させることで、街中、そしてweb上でもこのコピーがあふれたら何かが変わるきっかけになるように思うのです。

そしてそれと同時にそれぞれの書店・本屋が、その場所を魅力のあるものにすること。
本の並べ方、商材の多様化、地域との関わり、その空間をつかったイベントなど、出来ることは無限です。
書店という場所は、誰にとって、どういう意味のある場所なのか?
そもそも個人の“本屋”の場合、場所をもっていることは本当に必要なのか?
そういった問いを続けながら日々歩んでいかねばなりません。

そしてその答えを見てみたい、本と本屋の未来を楽しみたい、と思っています。
まちに書店が無くて、本屋がいなくて、本が読まれない未来なんて全く見たくありません。
だから、どんなに時代遅れでもやっぱり叫びたいのです。
「本屋がなくなったら、困るじゃないか」と。

今日8/27は宮沢賢治の誕生日!

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今日8/27は宮沢賢治の誕生日。
1896年生まれなので今年は生誕120周年です。

一番好きな作家のうちの一人ということもあり、当店には賢治の作品や関連書なども揃っております。
独創的なストーリーや個性的な登場人物たちの魅力はもちろんのこと、
その根底にある賢治の思想や哲学のようなものにも共感するところが多いです。

偕成社の《日本の童話名作選》から2冊。

『猫の事務所』

猫の事務所 [ 宮沢賢治 ]

猫の歴史と地理を調べる事務所には、事務長と四匹の書記がいました。そのうちの一匹が“かま猫”です。からだが煤で汚れているかま猫は仲間の嫌われ者。いじわるされてばかりいます。風邪をひいて一日休んでしまうと、もう自分の仕事はなくなっていました。かま猫は悲しみと悔しさでしくしく泣き続けます。何か言いたくても、もう声も出せないのでした。その時、急に獅子が現れて……。


『どんぐりと山猫』

どんぐりと山猫 [ 宮沢賢治 ]

一郎の家に、山ねこからハガキが届きました。〈あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。とびどぐもたないでくなさい〉一郎は嬉しくなって、山ねこのもとに向かいます。そこには何百という数のどんぐりがいました。彼らは体の大きさや頭のかたちなどで、誰が一番偉いのかを争っています。山ねこはその裁判に困っていたのでした。そこで一郎が授けた知恵は……。

この2つはまったく違うお話ですが、本来はみなが平等であること、争いの愚かしさやむなしさ、
という点で共通するものがあるように感じます。

猫のお話を取り上げましたが、皆さんの好きな作品はなんでしょう?
賢治の物語は誰のこころにも届きます。
それはきっと、全てのいきものに対する愛がそこにあるからです。

8/23はディック・ブルーナさんの誕生日!

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本日8/23はディック・ブルーナさんのお誕生日。
おめでとうございます!

彼の描く絵本は、色、かたち、表情、動きなどすべてがシンプル。
それはマティスやレジェの絵が、彼自身の心を強く打ったからだとか。
絶対に描きすぎてはいけない、複雑にしすぎてはいけない。
シンプルでいて、見る人にイマジネーションを働かせるものでなくてはならない、と。



ブルーナ・カラーと呼ばれる、赤・黄・青・緑。
それぞれの色に意味を持たせ、背景を描き分けています。
その色の違いに注目しながら読んでみるのも楽しいかもしれませんね。
(※後年、デザイン上の必要から、茶色・グレーが加わりました。)

彼の本は、ほとんどが16センチ四方の正方形。「手に取って楽しく、子どもの両手におさまる大きさ」なのだとか。
また12場面で構成されているのも、幼児が遊びに集中できる限界が10分ということに着目し、
その間に読み切れるページ数として割り出されたのだそう。

このように徹底的に子どもの目線にたって、本づくりを行ったディック・ブルーナ。
そのシンプルさの裏側には、考え抜かれた深い意味があるのです。

当店にはミッフィー(うさこちゃん)のシリーズ(英語版)も揃っております。
ぜひその魅力を感じてみてください。

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ディック・ブルーナのすべて

『アマミホシゾラフグ 海のミステリーサークルのなぞ』

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昨日、当店では「生き物たちのゆらゆらトーク ~ゾウとボノボとチンアナゴ」を開催しました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

ゲストの江口絵理さん、横塚眞己人さんの軽妙なトークであっという間の2時間でした!
様々な生き物たちのユニークな生態に触れ、改めて地球の偉大さ、生命の不思議を感じました。
毎年発見される新種は数千種にも及ぶのだとか!想像もつかないような生き物がまだまだたくさんいるんですね。

さて、昨日のトークでも紹介されたのがコチラ!
最近刊行されたばかりの『アマミホシゾラフグ 海のミステリーサークルのなぞ』(ほるぷ出版)です。

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アマミホシゾラフグ [ 江口絵理 ]

1995年、水中写真家の大方洋二さんは奄美の海底で不思議なサークルを見つけます。
人工的に作られたもの?タイヤの痕?それともUFO?正体はずっと謎に包まれたままでした。

そして2011年、大方さんはついにこのサークルの作り手を撮らえます!何だかお分かりですか?
(わかりますよね。あっ、ゴジラじゃありませんよ)

そう、これを作っていたのはフグだったのです!
フグの体長はわずかに10cm。片やサークルの直径は2m!
この小さな魚がいったいどうやって、何のためにこれだけのものを作りあげるのか!?
世界で初めてその謎にせまったのが本書です。

著者の江口さんから初めてこの写真を見せていただいた時の衝撃たるや!
驚きと同時に一気に魅了されました。
えっ、まさかそんなことが……。

というわけでこの謎が気になった方は、ぜひ読んでみてくださいね。
子ども向けの本ですが、世界の神秘の前に、大人も子どもも関係ありませんね。
親子で一緒にぜひどうぞ!

ちなみに昨日のイベントのメインでもあったチンアナゴについては、
同じく江口絵理さんの『ゆらゆらチンアナゴ』をどうぞ!
アマミホシゾラフグに負けず劣らず(それ以上に?)不思議で謎に包まれた生き物です。
水族館でも大人気のチンアナゴ。
残り少ない夏休み、ぜひ親子で水族館に見に行きましょう!

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服部みれい『わたしらしく働く!』(マガジンハウス)

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服部みれい『わたしらしく働く!』(マガジンハウス)

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わたしらしく働く! [ 服部みれい ]

編集者・文筆家・詩人として多方面で活躍中、「マーマーマガジン」でおなじみの服部みれいさんによる
「仕事」や「働くこと」、「生きること」についてのエッセイであり、ヒント集であり、メッセージです。

発売されたのは今年の4月ですので、既に4か月ほど経っています。
じっくりと自分のなかで反芻、吸収しながら読み進めていましたので、こちらで紹介するのが遅くなりましたが、
お盆休みも明け、多くの人が様々な場所で自然に触れたあと、働くことの意味を考えるであろうこの時期に紹介できるのは、もしかしたら最適なのかもしれません。

本書は、みれいさんが初めて“一般的な意味で”就職した会社での育児雑誌の編集の話から始まります。
新人時代の想像を絶するような働きぶり、大変な失敗体験、満を持して臨んだシュタイナー特集のこと、
その後フリーのライター・編集者になってからの『オリーブ』や『GINZA』での刺激的な日々、
そしてその間も「目に見えない世界と目に見える世界を結びつけよう」という強い思いを持ち続け、
ついに創刊した「マーマーマガジン」が、次第にその世界を広げていく様子が描かれています。

今でこそ多くの人に知られる「マーマーマガジン」も創刊当初は苦労の連続だったこと、
そしてそこに至るまでのみれいさんの思いや情熱、ともに仕事をしてきた編集者の仲間や、
デザイナー、クライアント、取材相手、そして読者とのかかわり。
くつしたの販売を始めた経緯や、〈直取引・買い切りのみ〉へのこだわりについて。
3.11のこと、その後の雑誌づくりのこと、美濃への引っ越しのこと。

当店ではエムエム・ブックスさんの本をたくさん置かせていただいていますし、
先日は出張リアルショップや冷えとり茶話会などのイベントも催したのですが、
本書をじっくり読んで初めて知ることも多く、ここに書きたいことがあまりにも多すぎて困ってしまいます。

ですが、ここはぜひライブ感を楽しみながら読んでいただければと思います。
編集者の方はもちろん、仕事や働くことについて悩んでいる方には必ず触れてほしい世界がここにはあります。
ヒントやコツがたくさん詰まっていますが、どの部分に自分が反応するかを知ることも楽しいですね。
“わたしらしく働く”実践編もありますので、ぜひ試してみてください。

印象的な2つのフレーズがあります。

〈この世界は、「わたしが、わたしを、わたしする」しかない世界〉
〈「わたし」が消えるほどに、「わたしらしさ」は顔を出してくるもの〉


さあ、あなた自身の“わたしらしさ”に出会いにいきましょう。

石井ゆかり『選んだ理由。』

東京・谷中の本屋ひるねこBOOKSです。

石井ゆかり『選んだ理由。』(ミシマ社)

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選んだ理由。 [ 石井ゆかり ]

Webマガジンである「みんなのミシマガジン」で連載された、「石井ゆかりの闇鍋インタビュー」(2014~2015)をまとめたのが本書。“闇鍋インタビュー”は、インタビュアーである石井さんが取材相手のことを知らされないまま、インタビューの席で初めて対面する、という企画です。
通常のインタビューであれば、聞き手はあらかじめ相手のことを下調べしておくのが基本。
それをせず丸腰で取材に臨むというのですから、かなり面白い、というか変わった企画です。

なぜ石井さんがそのような企画を希望したのかという点は、ぜひ本書でお確かめいただきたいのですが、
未知の相手だからこそ、まっさらな気持ちで聞きたいことや知りたいことがどんどん湧いてくるということもありますし、相手にとってもつい話してしまうという状況が生まれそうです。
内面的、本質的なところまでグッと迫っていける強さがあるのかもしれません。

このインタビューのテーマは「選んだ理由」。
なぜいまの仕事に就いているのか。なぜいまの生活をしているのか。
そこには必ずその人自身の選んだ理由、選び方があるはずです。
人生の岐路に立った時、なぜそちらを選んだのか。
合気道の先生、写真家や僧侶など、様々な人たちの「選んだ理由」には、生きる上でのヒントが散りばめられています。

個人的にもっとも印象に残ったのは、カフェの店主である畑さんのお話。
本。コーヒー。売っているものは違いますが、ものごとの考え方に似たところを感じたり、
商売の辛さ、飽きてしまうことへの不安、それでも人に任せず自分が立たねばならないという思いに、
とても共感しながら読みました。

そんな畑さんの“選んだ理由”は、「新鮮さ」。
「自分自身がいつも新鮮でここにいることが大事」
常に新しいこと、変わったものを求めるという意味ではなく、自身の心の方位磁石にしたがって、
「自分自身がワクワクできる」ことを中心に物事を選んでいるようです。

店にいて、そこに根を張ること。
そしていつも通ってくれる人に、新鮮な自分として接すること。
その「新鮮ないつも通り」を目指していきたいと思いました。

そして自分の“選んだ理由”はなんだろう?と、改めて開店前に連載させていただいたものを読み返してみました。
http://bookshop-lover.com/blog/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/rensai-hirunekobooks/

基準や選び方はその時々で変わることもあるでしょうし、それは自然なことですが、
その瞬間の自分の思いを信頼して進んでいきたいものです。